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行政書士兼ウェブマーケター。ナガシマガジン運営者。サラリーマンとして働きながらウェブマーケティング会社を起業し独立。更にその後、仕事をしながら5カ月の勉強期間で行政書士試験に一発合格し、行政書士事務所を開業。
行政書士試験に合格すると、晴れて行政書士になる資格を得られます。
ただ、それだけでは開業できず、合格後には行政書士会に登録する必要があります。
そこで、この記事では行政書士試験に合格後にどのような流れで行政書士会に登録し、開業までにどのような準備をしておく必要があるのかについて分かりやすく解説していきます。
行政書士試験に合格後の開業までの流れ
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1試験結果の発表
行政書士試験の合格発表が行われるのは、毎年1月末。
その当日に合格通知書が発送されて、合格通知書が届くのは2月上旬となります。
ただ、合格したらすぐに開業できるわけではなく、必要書類の提出や登録申請、事務処理期間などがあるので、開業までにかかる期間は1カ月半~2か月ぐらいかかります。
なので、合格後すぐに開業するのであれば、4月上旬~中旬を目途に開業準備を進めていくと良いです。
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2事務所の選定
行政書士会に登録申請をする際に事務所の情報が必要となるので、合格が決まった段階で早速事務所を探し始めます。
行政書士は自宅を事務所とできるので、自宅で開業する場合には特に事務所を探す必要はありません。
ただ、自宅を事務所とする場合には住居スペースと事務所スペースを明確に区別する必要があるなどの要件がいくつかあるので、その点を満たしているかを確認する必要があります。
また、レンタルオフィスなどを事務所として利用する場合には、事務所スペースは鍵付きで区切られた部屋でなければならず、コワーキングスペースなどのオープンスペースを事務所として登録できません。
因みに、上記のような要件からバーチャルオフィスを行政書士事務所として使用することは出来ません。
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3合格証の到着
毎年、行政書士の合格者に対しては2月中旬頃に合格証が発送されるので、その2~3日後に自宅に合格証が届きます。
そして、もし1週間が過ぎても合格証が届かない場合には行政書士試験センターへ連絡する必要があります。
合格証は行政書士の登録の際に必要な書類として含まれているので、大切に保管するようにしてください。
因みに、仮に紛失してしまったとしても、再発行をしてもらうことは出来ません。
とはいえ、行政書士として登録が出来ないというわけではなく、合格証明書を発行してもらうことで合格証に代わる証明書として使用することも可能です。
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4必要書類を揃える
行政書士会に登録するには以下の書類を提出しなければなりません。
- チェックリスト・・・1部
- 行政書士登録申請書・・・2部
- 本籍確認書類(外国籍の場合のみ)・・・2部
- 住民票・・・2部
- 履歴書・・・2部
- 行政書士となる資格を証する書面・・・1部
- 誓約書・・・2部
- 身分証明書・・・2部
- 申請者の顔写真・・・6枚
- 事務所に関する書面・・・1部
- 事務所の位置図・・・1部
- 事務所の平面図・・・1部
- 事務所の外観及び内部を示す写真
- 会員届・・・2部
- 誓約書・・・1部
行政書士試験の合格発表があってから、合格証がとどくまでにだいたい3週間程度あります。
なので、その合格証が自宅に届くまでに行政書士の登録に必要な書類を準備しておくことで、合格証が届き次第すぐに登録申請が可能となります。
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5準備資金の調達
行政書士会に登録する際には会費や登録証、入会費などで20~30万円の費用が必要となります。
また、事務所を借りる場合には保証金や賃料が必要ですし、事務用品としてパソコンやFX、コピー機なども場合によっては揃える必要があります。
さらに、開業してすぐに仕事があるというわけではないので、行政書士として食べていけるまでの期間の生活費やなどを考えるとある程度の開業資金は必要です。
ただ、なかなか初めから数百万円の開業資金を準備できている人も多くないのと思うので、その場合には日本政策金融公庫などの金利の低いところから開業資金を借り入れると良いです。
融資に関しては開業前でも開業後でも受けられるので、この段階で融資を受けなければいけないというワケではありません。
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6事務用品を揃える
開業資金がある場合、または借り入れが出来れば事務所を借りて、以下のように必要な事務用品を揃えます。
- 名刺・・・5千円~
- 電話機・・・1万円~
- パソコン・・・5万円~
- プリンター・・・1万円~
- 椅子や机・・・数万円~
- 金庫・・・数千円
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7事務名を決める
事務所の名称は「行政書士事務所」という文言を明示する必要があります。
また、事務所名を登録申請する場合には単位会の区域内で既に行政書士明眸に登録されている個人会員の事務所の名称は使えません。
因みに、事務所名はかっこいいおしゃれな名前を付ける人も多いのですが、出来るだけ分かりやすい名前を付けた方が覚えてもらいやすいのでおすすめです。
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8申請&事務所調査
必要書類を揃えたら事務所を設けようとする都道府県に設立されている行政書士会に書類を提出します。
そして、書類を提出すると申請から1週間~1カ月以内に開業する事務所の現地調査が行われます。
この時に、提出した書類の記載されている内容に誤りがないかと、行政書士事務所として相応しいかの確認が行われます。
まず、記載内容に関しては口頭で書類の内容が確認されます。
そこで、もし誤りがあった場合には修正が必要となるので提出前に事前に間違いがないかのを確認しておくことをおすすめします。
次に、事務所の確認については守秘義務が保てるか、問題なく職務の遂行が出来るがチェックされます。
この、見地調査に関しては各単位会によって違うのかもしれませんが、私の場合は5~10分程度で終わりました。
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9登録完了通知が届く
現地調査の結果、問題がなければ、各都道府県の行政書士会から日本行政書士会に進達されます。
登録の完了までには各都道府県の行政書士会が正式に書類を受理してから1~2か月程度かかります。
そして、行政書士名簿に登録されると登録決定の通知と共に登録証授与式の案内が送られてきます。
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10登録証書授与式に参加する
登録証書授与式では行政書士登録証という証書が授与されますが、それと同時に行政書士の倫理や業務、行政書士会についてなどの説明が行われます。
この時、同じタイミングで行政書士会に登録した方と会うことになるので、事前に名刺を用意しておくことを忘れないようにしてください。
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11税務署に開業届けの提出
後は税務署への開業届けを提出すれば晴れて行政書士としてスタートを切れます。
その際に青色申告承諾申請書と合わせて提出することで、節税が可能になります。
行政書士の登録申請中の過ごし方
上記で紹介したように、必要書類を提出してから登録完了の通知が来るまでにおおよそ1カ月~2か月の待ち時間があります。
登録の申請をした場合にはよっぽどのことがない限り、登録を拒否されることはありません。
なので、問題なく開業登録ができる前提でこの1~2カ月間の待ち時間を過ごすことをおすすめします。
例えば、ホームページの作成であったり、開業後の営業戦略を考えたり、行政書士業務に関する勉強に時間を使うと良いです。
因みに、この時期に挨拶状の準備などをする方もおられるようですが、個人的に挨拶状は必要ないと思っています。(というか、私は出していません。)
この期間に何をやったかで、開業後にスタートダッシュを切れるかどうかが決まるので、自分は経営者であるという自覚をもって時間を無駄にせずに過ごしてみてください。
まとめ
行政書士試験に合格してから開業までの流れについて解説してきました。
これをすべてやり終えた段階でようやく行政書士として活動できるわけですが、慣れない事ばかりで大変だと感じるかもしれません。
しかし、これらの届け出や開業の手続きなどは行政書士の職業と密接に関わりのあることなので、今後の業務の勉強になると捉えながら開業してみることをおすすめします。
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長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所